Japan Association for Medical Informatics

[3-E-2-5] 照合端末新機能による注射業務に係る看護記録の転記記録削減に関する評価

疋田 智子 (京都大学医学部附属病院)

【背景】2005年に日本看護協会より示された「看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針」によれば、診療記録開示の目的に適う看護記録のあり方として「看護記録は看護者の思考と行為を示すものであり、看護実践の一連の過程を記録したものである。また、看護記録は、遂行した看護業務を客観的に証明する重要な書類である」とされている。インシデントが起こった際、正確な実施時間を記録しておくことは重要であり、注射業務における記録も同様である。しかし、照合端末更新以前、当院では注射照合はバーコードリーダーを利用していたため、注射照合の結果は「〇、△、×」で表示され、実施登録すると注射内容と開始時間が電子カルテに記録されるものであった。そのため、注射終了や注射ボトル交換の時間、IN-OUT計算のための点滴IN量の記録などは電子カルテへ転記が必要であり、業務負担になるとともに、注射の終了・交換時間やIN量の記録について不整合があった。2016年、照合端末が更新され実施・終了時間やIN記録を正確に入力できる新機能が追加された。そこで、新機能の周知をはかり注射業務における転記記録の削減に取り組んだ。【目的】照合端末の新機能を周知し、注射業務における転記記録を削減する。【方法】2016年5月から2018年4月までの注射に関する記録の内、新機能により記録を行った数(注射実施取り込み率)を算出し、照合端末新機能周知前後の注射実施取り込み率の変化を評価する。【結果】2017年4月の注射実施取り込み率は31.1%であったが、2018年3月には64.9%と倍増した。病棟別にみると注射オーダー数の多い病棟ほど注射実施取り込みを行っている傾向があり、照合端末の新機能を利用することで、転記記録が削減されたと考えられる。