Japan Association for Medical Informatics

[3-E-2-6] 診療記録を用いた重症度、医療・看護必要度の自動判定サポートの試み

阪本 恭子1, 小野 律子1, 今津 貴史2, 竹村 匡正2 (1.大阪警察病院, 2.兵庫県立大学大学院 応用情報科学研究科)

重症度、医療・看護必要度(以下必要度とする)は2016年度診療報酬改定により、Hファイルとしてデータの提出が義務づけられた。当院では、評価者はオーダ/実施情報や観察/結果値による電子カルテシステムの必要度評価サポートシステムを利用し判定を行っている。正確な必要度のデータ作成のために、専任の担当者を置き日々監査を実施し、監査結果を評価者への教育に活用することで評価判定の基準を担保している。しかし、A項目(モニタリング及び処置等に関する項目)・C項目(手術等の医学的状況)では評価判定と医事算定要件の基準が異なるために、診療記録にのみ判定の根拠となる情報が記載されていること、B項目(患者の状況等に関する項目)では患者の状態や提供したケアは自然言語で記載されることが多いことから、評価判定や監査時には診療記録を閲覧するしか方法がない。既存の評価サポートシステムは診療録や看護記録の記載内容を利用することができないため、結局膨大な監査の手間がかかっている。 そこで本研究では、これらの診療録や看護記録を用いて日々の評価サポートや監査に利用することを試みる。具体的には、今回は自然言語処理と機械学習を適用することで、判定根拠となる診療録および看護記録を自動的に抽出することを目的とした。方法としては、当院における1か月間の診療記録約69万レコードに対して、人手によって判断の根拠となる記載かどうかを判定し、これを教師データとして機械学習を行い、判別器を構築することを試みた。その上で、診療記録を自動判定し、判別器の精度判定を行った。 その結果、膨大な診療記録より評価判定に関連する記録を抽出することが可能となり、診療記録を監査に利用可能となった。今後は、DWHシステムと組み合わせ診療記録を加工することで日々の評価サポートにも利用可能となると考えられる。さらに評価者教育へ利活用ができると考えられる。