Japan Association for Medical Informatics

[3-E-2-7] 重要度、医療・看護必要度の日次推移に基づく患者容体の分析

古畑 宏樹, 荒木 賢二, 山﨑 友義, 串間 宗夫, 小川 泰右, 松尾 亮輔 (宮崎大学医学部附属病院 医療情報部)

【目的】 重要度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)は、患者の容体を日次単位で点数化したものである。本研究では、看護必要度の平均値の日次推移に基づき、看護必要度の値がピークに達する時期などに着目した分析を行う。【対象と方法】 宮崎大学医学部附属病院の入院患者(一般病棟のみ)のうち、看護必要度の初回記録日が2015年4月1日から2017年3月31日である患者とした。分析を掘り下げるための因子として、性別(男性、女性)、年齢層(65歳未満、65歳以上)、手術(なし、あり)を設定し、A得点、B得点、AB合計について看護必要度の平均値を入院後経過日数別に計算した。【結果】 分析対象となった患者数は17,535名(同一患者が複数回入院した場合は別個にカウント)、うち男性9,831名、女性8,154名、65歳未満8,656名、65歳以上8,879名、手術なし14,088名、手術あり3,447名となった。看護必要度の平均値について、手術なし以外の層は2日目にピークに達し、その後すぐに減少に転じた。手術ありの層は、3日目にピークを迎え、その後2日間はピーク時と大差ない値を維持してから下落している。15日目以降については、患者層の違いにかかわらず看護必要度の平均値が増加している。【結語】 手術を行った患者は、手術日前後において周術期管理のための処置を受けており、身体活動に大きな制約を抱えている。ピーク日の3日目に手術の実施が集中すると仮定すれば、ピーク日の前後においても看護必要度が大きく下がらない点は、前述した制約が要因となり妥当な結果と考えられる。15日目以降に看護必要度が増加に転じる理由は、治療が順調に進んだ患者の多くが14日以内に退院し、15日目以降は容体が芳しくない、すなわち、看護必要度が高い患者の割合が大きくなる点にあると考えられる。今後は、これらの推移の推定モデルを構築し、医療情報システムへの実装可能性を検討したい。