Japan Association for Medical Informatics

[3-E-2-8] iPod Touchを活用した照合と電子カルテ入力業務支援システム

小野 律子, 阪本 恭子, 勝野 敏行, 杉岡 裕之 (大阪警察病院)

当院では導入以来電子カルテ端末による注射、輸血、検体検査、手術照合を運用してきたが、緊急性の高い場合や採取直前の検体検査照合に対応しづらいと、他病院導入PDAを望む声や照合過程を省略する行為が見受けられた。運用周知と啓蒙を強化してきたが、既存システムでの医療安全向上対策は不完全であった。そこで、電子カルテ更新タイミングに合わせ、ICカードリーダー・2次元バーコードリーダーを装備したジャケット(As Reader)を装着した iPod Touchを活用して、携帯性に優れた新照合システムOPH Medical Mobile(以下OPH-MMという)を開発した。OPH-MMには照合以外にも医療機器の所在管理と電子カルテへの自動取り込み機能を持つ生体情報管理システムへの入退室操作も具備。NFC対応計測器の読み取りと患者個々に設定したフローシート計測項目への書き込みや写真の連携機能を持たせ、電子カルテ入力業務の効率化も目指した。初期導入は病棟からとの決定に98台を初期配布、検証用・交換用予備を67台として安定稼働後に再配分する予定とした。採取直前の検体検査照合は運用が開始され、エラー・警告表示の強調効果も向上した。しかし、稼働はスローペースで検証が遅れたこと、破損やアプリケーション更新による入れ替えが発生するなど、再配分に至らず効果判定が難しい状況にある。しかし、電子カルテ入力業務の効率化に関しては、生体情報管理システムへの入退室の操作性と安全性は向上。計測・写真機能も好評であり、病棟以外からも稼働への要望が出るなどOPH-MMへの関心は高い。今後、不具合対応、操作ログ解析による啓蒙活動を強化していく必要はあるが、全館への稼働の拡大、医療機器管理システム(入出庫・使用実績管理)との連動、電子カルテへの書き込み機能の拡張など、多岐な運用拡大の可能性があり、効果が発揮できると考える。