Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-6] ICD-11の我が国への適用に向けて

森 桂 (厚生労働省)

 ICDは明治33年(1900年)に国際会議で初めて採択され、我が国では、1900年からICDを採用し運用を行ってきた。最新の分類は、ICDの第10回目の改訂版として、1990年世界保健総会において採択されたものであるが、我が国では、その後の改正が反映されたICD-10(2013年版)に準拠した「疾病、傷害及び死因の統計分類」を作成し、統計法に基づく統計基準として告示改正を行い、2019年より人口動態統計や患者調査等の公的統計に使用しているほか、医療機関における診療録の管理等に活用されている。
 厚生労働省では有識者による審議会を設置して、ICDの国内適用や専門分野の議論を行うとともに、厚生労働省や国立保健医療科学院、国立がん研究センターがん対策情報センター、日本病院会日本診療情報管理学会、JLOM(日本東洋医学サミット会議)、国立障害者リハビリテーションセンター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センターの8機関で構成されるWHO国際統計分類協力センターとして指定を受け、多くの専門家とともにWHO関連会議に参加してきた。2016年には東京でICD-11改訂会議が開催、加盟国レビュー用のICD-11案が公表され、日本医学会や日本歯科医学会等からの意見をとりまとめ、WHOへ意見提出を行うとともに、多くの診療情報管理士の協力も得ながらフィールドテストを進め、2018年6月のICD-11公表を迎えた。
 世界的に高齢化が進み、特に我が国では多死社会を迎えようとする中、持続可能な保健医療システムを構築し、効果的な対応をはかっていくことが重要である。そのために統計や情報基盤の整備と活用が一層求められており、ICDはその一助として役割を果たすことが期待されている。2018年8月審議会において、我が国におけるICD-11の公的統計への適用に向けて議論を開始したところであり、今後、法制度上の取り扱いや利用環境、我が国の疾病構造等を踏まえた分類表の作成等、関係者と連携しながら具体的な検証や整備を進める予定である。