Japan Association for Medical Informatics

[3-F-2-4] 問題点抽出型薬剤アラートシステムの構築

村田 泰三, 武田 理宏, 藤井 歩美, 坂井 亜紀子, 真鍋 史朗, 松村 泰志 (大阪大学医学部附属病院 医療情報部)

【背景】電子カルテの薬剤オーダでは、患者プロファイルからの禁忌チェック、オーダ情報から薬剤相互作用や最大投与量、重複投与チェックなどが行われてきた。一方、薬剤添付文書に記載される腎障害や肝障害等の問題点は電子カルテの患者情報からその有無を判断しアラートを提示する必要がある。今回我々は、あらかじめ設定した問題点に対し、患者カルテ起動時に問題点の有無を判定し、薬剤オーダ時にアラートを発生させるシステムを開発した。【目的】本システムを用い腎障害に対するアラートを設定すること。【方法】本システムのマスタには、問題点グループ、問題点コード、重要度、発生条件、発生根拠SQL、回復条件、回復根拠SQLを設定する。問題点グループで問題点を定義し、問題点コードで、そのレベル分けを行う。重要度は処理順を意味し、複数の条件がかかった場合は、重要度が高いものを表示する。発生条件は、パラメータの取得SQLと各レベルの条件の真偽をXMLに記載する。発生根拠SQLは、問題点が発生した場合にその根拠をパラメータの時系列表示等で表示するためのものである。回復条件、回復根拠SQLも同様に回復時のマスタを作成する。最後に設定した問題点レベル毎に対象薬剤と表示するアラート内容を設定する。【結果】腎障害では、「重篤な腎障害(透析中)」、「重篤な腎障害(eGFR <15)」、「重篤な腎障害(15≦eGFR<30)」、「中等度な腎障害(30≦eGFR<60)」の4段階でレベル分けをした。透析中は患者プロファイルで透析ありの場合、eGFRは、透析なしかつ直近の検査結果から問題点を発生させた。腎障害のアラートは腎臓内科の医師、薬剤部と協議の上、専門医以外は気づきにくい16種類の禁忌をピックアップし、217個の薬剤に対して設定し、禁忌の種類ごとにメッセージを設定した。【総括】本システムは、問題点の抽出条件を事前に設定することで、患者状態に合わせて、より正確で細かな注意喚起を警鐘することが可能である。