Japan Association for Medical Informatics

[3-F-2-6] 全国アンケートに基づく患者アレルギー情報の整備とアラート機能による改善効果

中山 雅晴1,2, 井上 隆輔2, 松浦 正樹3 (1.東北大学大学院医学系研究科 医学情報学, 2.東北大学病院 メディカルITセンター, 3.東北大学病院 薬剤部)

【目的】薬剤はときに重篤な症状を引き起こし、患者を死に至らせることもある。アレルギーや副作用の履歴管理を徹底することにより誤投与を減らすことは大変重要である。しかしながら、患者のアレルギーや副作用情報はカルテベンダーや病院ごとに様式が異なっており、統一されてはいない。我々は以前、アレルギーや副作用および禁忌情報の取り扱いについてアンケートを施行した。その結果とともに、当院で改善したプロファイル画面とその効果について説明する。【方法】アンケートは2014年に600床以上の全国213病院に送付し、76施設から回答を得た。回答を参考に、当院で多職種によるワーキンググループを設立し、議論を行った。その決定に基づいて、電子カルテ上の患者プロファイル画面に必要なカスタマイズを加え、2015年5月に運用を開始した。その後のデータ入力件数を調査し、さらに医療安全推進室より処方に関するインシデントについて情報を得た。【結果】アンケートの結果では、禁忌とアレルギー情報は重症度で分けることが多いことが示された。しかしながら一般的な病名禁忌と実際に起きた事象とは混在していた。また、症状の重症度に基づいたアラートシステムを備える施設は少なく、多くの施設でアレルギー情報の扱い方やアラート機能などが標準化されることを望んでいた。当院では、患者の既往に基づく副作用と一般的な病名禁忌と項目を分けた。副作用欄には、該当薬剤、症状、日付、情報の確からしさ、重症度、アレルギーレベルの選択を含めた。新画面を展開し、1年間で導入以前と比較すると入力件数は増加した。一方で、院内処方インシデント数のうちアレルギーに関するものは2015年度に比較し、2016年度は有意に減少した。【まとめ】全国アンケート結果を参考に、患者アレルギー情報の見直しを行い電子カルテ上のプロファイル画面を変更した。入力件数は上昇し、インシデント抑制効果も認められた。