[3-F-2-8] ケアミックス病院における死亡患者報告書作成業務と分析報告
2015年実施された死亡事故調査制度は調査対象となる死亡事例に関して医療介入の有無に加えて管理者の「予期」に関する評価を要する。高齢患者の多いケアミックス病院では複雑な治療・看護を提供する機会は少ないが、患者の状態を考慮すると死亡イベントの「予期」は容易ではないと予想される。当院は急性期、地域包括ケア、回復期リハビリ、療養型、緩和ケアの複数病棟から構成される計556床の病院であり2017年1月から主治医に死亡患者の主病、患者の死亡分類(予期された死亡、予期はされなかったが主病に伴う合併症として説明しうる死亡、予期されず医療事故が関与される死亡)を記載する報告書作成を依頼した。IRB承認のもと報告のあった死亡患者カルテから年齢、入院日数及び病状説明日から死亡退院日までの日数、また付帯する患者生体情報として病状説明時近辺での血清Alb値(g/dl)の抽出を行なった。2017年1-12月の間に432名の死亡事例があり主治医がその死亡のタイミングに関しての予期ができたと判断した事例は388名(89.2%)、できなかったと判断した事例は44名(10.2%)、医療事故の関与が疑われると判断した事例は0名(0%)であった。予期できなかった事例に関して在院日数の少ない急性期-地域包括ケア病棟では27 名(31.8%)、長期療養病棟では15名(8.29%)、緩和ケア病棟では2名(1.20%)であった。急性期-地域包括病棟での予期されなかった死亡患者の主病は呼吸器系(13名)、悪性腫瘍(4名)、老衰(3名)、腎泌尿器系(3名)の順であり、予期された57名とされなかった27名で年齢(87.4±9.26歳/ 86.7±9.62歳)、入院期間(26.0±21.0日/22.0±20.8日)、血清Alb値(2.49±0.61g/dl/ 2.74±0.70g/dl)には有意差を認めず病状説明日から死亡日の期間(8.23±18.2日/18.3±46.5日)には有意差を認めた。