[3-G-1-1] 超高速・超学際次世代NDBデータ研究基盤構築を活用した糖尿病関連エビデンス
平成28~29年度の国立研究開発法人日本医療研究開発機構・臨床研究等ICT基盤構築研究事業(16lk1010017h0001)にて構築した「次世代超高速・超学際NDBデータ研究基盤(SFINCS)」を活用し、生活習慣病(主に糖尿病、高血圧、高脂血症、腎不全)を対象とした実態把握とガイドライン遵守の検討について発表する。発表者らは、生活習慣病について「日本糖尿病学会」、「日本高血圧学会」、「日本動脈硬化学会」、「日本腎臓学会」と連携しながら、レセプト分析を実施するための病名や診療行為コードの定義を検討している。また、NDBに於いては、個票(患者)単位の分析を行うために被保険者番号・生年月日・性別等の情報をもとに匿名化(ハッシュ化)したID1、氏名・生年月日・性別をもとにしたID2が存在する。しかし、ID1は被保険者番号を利用している為に保険者の異動により変化し、ID2も同様である。そこで、レセプト毎にID1とID2をそれぞれノードとし、同一レセプト内のID1とID2をエッジで連結し、また、別のレセプトであって同じID1もしくはID2のノードをエッジで連結したグラフを構成し、一定の条件の下で、独立した部分グラフに含まれるレセプトを同一患者のレセプトと見做す個人識別技法(仮想患者識別子、vPID)を開発し、利用している。今回、生活習慣病患者数を算出したところ、ID1では約4869万人、ID2では5192万人、vPIDでは4515万人であった。また、生活習慣病発症における非薬処方群、治療者、合併症群、重症群における透析の有無などの重症化分類を行い、可視化ツールをもとにした分析結果と共に、分析の限界について発表する。多くの学会は診療ガイドラインを作成し、現場の診療を支援しているが、同時にレセプトデータも併せて活用することで、各疾病の診療実態を明らかにし、診療ガイドラインの改善につなげることで、その成果は広く国民に及び、重要だと考える。