Japan Association for Medical Informatics

[3-G-1-2] NDBからみた糖尿病とその併存疾患のパノラマビュー

野田 光彦 (埼玉医科大学病院 内分泌内科・糖尿病内科)

 平成28年「国民健康・栄養調査」の全国11,191人における解析結果によると、わが国の糖尿病が強く疑われる者(ほぼ糖尿病有病者に相当)は約1,000万人と推計され、若干の増加傾向にあると報告されている。この「国民健康・栄養調査」は糖尿病対策等に広く利用されているが、客体数に制約があるなどの課題もある。一方、NDB(National Database)は、国内で行われた保険診療の大部分のレセプト(診療報酬明細書)と、特定健診の結果を集積した世界最大級の医療データベースである。処方・検査などの診療行為も収載されていることに加え、疾患横断的な情報も得られるため、併存疾患の状況についても分析可能で、地域特性や経年的な推移の分析にも適していると考えられる。さらに、平成28年からは,NDBオープンデータとして、レセプト情報や特定健診情報の都道府県別の集計値が一覧として公表されるようになった。
 本発表では、まず、NDBの個別データを用いて糖尿病患者数の経年的な推移、糖尿病の標準的な診療行為実施率、高血圧や脂質異常症等の併存疾患の状況に関する分析結果を提示する。次に、NDBオープンデータに基づいて、HbA1c高値の割合や標準的診療行為実施数に関する都道府県別の分析結果を紹介する。
 これらの事例を援用しつつ、わが国の糖尿病研究におけるNDBの利用可能性と課題について論じたい。