Japan Association for Medical Informatics

[3-G-1-3] NDBによる慢性腎臓病(CKD)のアウトカム評価への応用

山縣 邦弘 (筑波大学医学医療系 腎臓内科学)

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease; CKD)は腎機能障害の進行ともに、腎代替療法を要する末期腎不全へと進展と同時に、心臓血管病発症の重要なリスクファクターである。このCKDの原因として、糖尿病性腎症、腎硬化症をはじめとする生活習慣棒関連の疾患の増加が著しい。特に糖尿病性腎症は透析導入の原疾患として最も多く、新規に透析導入となる患者数の減少を図ることが急務とされている。一方で、CKDの原因疾患の変化、一般人口の高齢化に伴う高齢CKD患者の急激な増加により、CKD患者は末期慢性腎不全への進行する以前に様々な原因により死亡する患者が多い。さらに腎代替療法の多様化、腎移植成績の向上に伴い、機能腎を持った腎移植術後患者の増加が著しく、中でも従来では予後不良と考えられてきたⅡ型糖尿病を原疾患とする慢性腎不全患者にも腎移植が実施されるようになっている。さらに透析療法を経ずに腎移植療法を受ける未透析腎移植(preemptive kidney transplantation; PEKT)患者が年々増加しており、進行したCKD患者の全貌を検討するには、従来の学会等による患者調査では不十分であることが明らかとなった。そこで、AMED満武巨裕班により、6年分のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用して、新規ならびに維持透析患者および新規ならびに腎移植レシピエントで機能移植腎保持患者数を検討した。これらの経年的NDB情報を得ることにより、公費レセプト等の非電子化情報の欠落により情報収集が困難であった状況が徐々に改善している事などが明らかとなった。さらに毎月の透析患者、腎移植患者の動向など従来の学会調査では未知の新たな情報を獲得することが可能となった。本報告ではさらにこれまでのAMED腎疾患実用化研究事業「診療連携・国際連携をも視野にいれた、生活習慣病、CKDの診療の質向上に直結する多施設長期コホート研究」(山縣班)による研究成果を含めた、糖尿病性腎症を含む慢性腎臓病の全体像についても報告する予定である。