Japan Association for Medical Informatics

[3-G-2-1] 診療データ活用における医薬品識別の課題 -本セッションの全体概要と国内の状況

岡田 美保子 (一般社団法人医療データ活用基盤整備機構)

 近年、学術団体等による各種臨床データベース(DB)/疾患レジストリーの構築・活用、病院の診療データを利用した市販後安全対策の取り組み(MID-NET)など、臨床データの活用が進んでいる。国際的にはICH GCPレノベーションにおいて、リアルワールドデータを試験データの分析に活用する方向性が述べられ、診療データの活用に期待が集まっている。
 そうした中で、大きな課題の一つに医薬品の識別がある。国内には薬価基準収載医薬品コード、再審査コード、経済課コード、YJコード、レセプト電算処理用コード、HOTコード、JANコード、GS1-128コード等が存在する。病院では流通、レセプト、電子カルテで異なるコードが利用され、さらに厚生労働省としてHOTコード(HOT基準番号)が指定されている。他方、治験データではWHO-DDs、個別症例安全性報告では再審査コード、経済課コード、 再審査報告では審査コードと、医療施設とは異なるコード体系が用いられている。複数の医薬品コードが、それぞれ異なる目的に使用されている中で、多施設共同型臨床DBでは医薬品識別に課題が生じ、またリアルワールドデータと薬事に使用されている医薬品コードを紐付けたデータ分析も困難なものとなっている。
 本シンポジウムでは、国内における医薬品コードの現状と課題、および国際規格ISO IDMP(Identification of Medicinal Product)を中心する国際動向について、情報共有をはかり、医療と薬事にわたる医薬品情報の共通利用性を高めるための方策について、各業界、様々な関係者からの参加を得て徹底した討論を行いたい。