Japan Association for Medical Informatics

[3-H-1-3] 総括:「内服薬処方せん記載の在り方に関する検討会報告書」実現への道

土屋 文人 (日本病院薬剤師会)

 平成22年1月に「内服薬処方せん記載の在り方に関する検討会報告書」が発表されてから9年を迎えようとしている。この間報告書に示された短期的方策・長期的方策を実現すべく、各ベンダーではシステム開発が行われているが、その開発状況については本連合大会において日本病院薬剤師会・保健医療福祉情報システム工業会の共同企画によるセッションとして、大手6ベンダー(富士通、日本電気、アイビーエム、東芝、日立、ソフトウエアサービス)の開発状況が発表され、関連する課題について議論がなされた。また、行政の面からは報告書に記載されたことがどのような状況になっているのかを検証するために、平成27年に厚生労働科学研究「内服薬処方せんの記載方法標準化の普及状況に関する研究(研究代表者土屋文人)」が実施され、報告書記載内容の実現状況と克服すべき課題について報告が行われた。また、平成29年には報告書において指摘された一般名処方に関する課題について、厚労省保険局から疑義解釈が公表された。また、長期的方策実現の折に必須となる標準用法マスタについては、日本病院薬剤師会と日本薬剤師会とで標準用法用語集が作成され、これを基に、日本医療情報学会において検討が行われ、その成果物は本年5月「処方・注射オーダ標準用法規格」が厚生労働省標準規格として認められた。
 短期的方策はもとより、長期的方策についても各ベンダーのシステム開発そのものは終了したとみなしても良い時期になり、あとは医療機関が開発されたシステムをどのように普及していくのかについてベンダーと協議を行う次期に移行したともいえよう。その意味で報告書が出されて依頼、毎年開催されてきた本共同企画は一つの節目を迎えたことになる。本年は今までの総括を行うとともに、本来の目的である情報伝達エラーを防止するための、処方せん記載を巡る諸課題について総括することとする。