[3-I-1-5] ID-Linkを利用したクラウド型高度化EHR事業と大分大学医学部附属病院との連携について
「うすき石仏ねっと」は、平成20年に発足した臼杵市と臼杵市医師会によって運営されている双方向性のネットワークで、病院、診療所、薬局、歯科医院、消防署、介護施設等をつなぎ、患者基本情報、検査データ、処方データ、注射データ、サマリー情報、PACS、連携パス、介護データ等を共有している。患者同意はカード提示で行っている。平成30年3月現在、18,646名(人口の47%)が参加しており、数少ない成功しているネットワークの一つである。一方、大分大学病院においては、平成25年よりID-Linkを利用した大分県医療情報ネットを展開し、2公開施設と7閲覧施設が参加している。ここ2年においては、救急患者の画像伝送やリハビリ連携パスなどの双方向の連携を深めているが、盛んに活用されているとは言えなかった。 平成28年度のクラウド型EHR高度化事業補助事業に、うすき石仏ねっとを核とした大分中部医療圏を双方向に接続する事業である大分県うすき石仏ねっと高度化事業が採択された。これにより、大分市(既存の豊の国ハイパーネット内)に名寄せ機能を有するクラウド型DC設置して、うすき石仏ねっと、大分市および津久見市の病院から基本情報、検査データ、処方データを収集してネットワークを構築した。大分大学病院が参画するに当たっては、既存のシステムを有効利用および汎用性・発展性のある方式を採用を留意した。大分大学病院からのデータは、ID-Linkを利用してSEC函館DCにデータのアップロードを行い、NTTデータDC経由へクラウド型DCにデータを格納した。クラウド型DCのデータを閲覧は、豊の国ハイパーネット経由とした。大分県中部医療圏においては、うすき石仏ねっと高度化事業をベースに、大分市、大分郡市医師会が中心となって医療情報ネットワークを今後発展させていく方針となっている。