Japan Association for Medical Informatics

[3-I-2-2] 臨床看護eラーニング教材に対する学習意欲と看護師の属性の関連

高島 真美1,2, 高見 美樹2, 石垣 恭子2 (1.医療法人医誠会, 2.兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科)

2016年11月に臨床看護eラーニング教材が開発・発売された。この教材の特徴は、クイズ形式など能動的に学ぶ仕組みや、キャラクターがメッセージを配信するなど学習継続をサポートする仕掛けがあること、スマートフォンで学習可能なことである。本教材に対する学習意欲と看護師の属性の関連を明らかにすることを目的に本研究に取り組んだ。対象はA法人にて本教材にユーザー登録していた513名とし、2018年2月に『教材の学習意欲調査票』(J.M.ケラー,2010)を用いたアンケート調査を教材の回答システムを活用して実施した。得られた回答を先行文献と同様に5点満点で点数化し、全36項目の平均点、下位尺度(注意、関連性、自信、満足感)毎の平均点を算出し、回答者の属性ごとに比較し、クラスカル・ワーリス検定を用いてp<0.05を有意として検証した。有効回答数は301名(回収率58.7%)であった。職位無回答者を除いた職位別の全項目平均点はスタッフ3.07点(n=211)、主任3.30点(n=40)、副師長以上3.34点(n=43)であり有意差が認められた。下位尺度で職位別に有意差が認められたものは「注意」と「自信」であった。年代別の全項目平均点は20代3.01点(n=130)、30代3.08点(n=63)、40代3.26点(n=65)、50代3.48点(n=35)と年代が高いほど点数が高い傾向が見られた。本教材の特徴から、若いスタッフ看護師の学習意欲を喚起すると予測していたが、40代以上の指導的立場にある看護師の学習意欲が高い結果となった。これは、40代以上の看護師にとってeラーニングという学習方法が目新しかったこと、今の新人が習っている看護技術への関心の高さが影響していると考える。今回の調査では、臨床看護eラーニングに学習意欲を喚起されるのは40代以上の指導的立場にある看護師であることが示唆された。