Japan Association for Medical Informatics

[3-I-2-4] 職員が演じる実践動画を組み合わせた医療現場のeラーニング

榊原 祥裕, 井上 朝美, 前田 早穂子 (一般財団法人操風会 岡山旭東病院)

【はじめに】当院は病床数202床、約500人の職員が働く脳神経運動器の専門病院である。職員が演じる急変時シミュレーション動画とeラーニングを組み合わせた実践的な学習の仕組みを構築したので報告する。【目的】2012年にeラーニングを導入して以降、医療系を中心に100以上のコンテンツを病院にて作成してきたが、座学中心の内容で実践的な学習には不向きであった。今回、実際の対応力が問われる急変時対応について、より多くの職員が効果的に学習できる方法がないかを検討した。【方法】①職員が病棟など実際の現場で急変時対応訓練を行う様子を動画で撮影(演じる姿が撮影されるという緊張感)②撮影した動画を専門の医療者の視点で編集して、eラーニングに掲載(学習すべきポイントをおさえる)③訓練参加者は振り返りの視点で、その他の職員は今後訓練に参加する時の予習の視点でeラーニングで学習次回参加者、実施場所を予告した上で①②③を繰り返していく。【結果】実地訓練とeラーニングを組み合わせることで、多くの職員が実践的な内容を学習できるようになった。さらに、全職員対象にアンケートも実施。179人から回答が得られた。任意の学習コンテンツであるにもかかわらず、「急変時対応をeラーニングで学習したことがある」と回答したのは50%だった。そのうち「急変時対応能力が向上した」と回答したのは72%だった。理由としては、「事前にイメージトレーニングができた」が60%で最も多かった。学習後に患者の急変に遭遇し、落ち着いて対応することができたという個別意見もあった。【結論】座学中心となりがちなeラーニングに身近な職員が実際に演じる実践動画を組み合わせることで、他の職員に見られる、自分も演じなくてはという緊張感も手伝って、高い学習効果を得られることが分かった。今後も医療現場に適したeラーニングの仕組みを模索していきたい。