Japan Association for Medical Informatics

[3-I-2-8] 医療情報技師資格取得を目標とした教育の現状と問題点

平塚 智文, 小野寺 栄吉, 山田 典弘, 中村 健, 小松 加代子 (学校法人岩崎学園 横浜医療情報専門学校 教務部)

本校は東日本大震災における病院被害(特に紙カルテの流出被害)の実態を知り、電子カルテ普及の必要性とそれを扱う技術者養成が急務であると考え、2012年に4年制課程である医療IT科を設置した。初期目標として医療情報技師及び基本情報技術者、診療情報技師を3大資格として卒業までに取得を目指し、関連の授業を行っている。医療情報技師資格取得を目標にうたっている学校は全国で数十校見られる。しかしそのほとんどが主資格(臨床検査技師、臨床工学士等)取得を目的としており、医療情報技師はチャレンジ資格として取得を促す学校が多い。本校の様に医療情報技師資格取得を主目標にしている学校はまだ少ないのが現状である。本校では毎年20名前後の入学者があり、既に約130名の学生を受け入れてきた。卒業生は病院の情報システム室だけではなく、医療系ソフト会社、医療機器販売会社、介護・福祉関係など多方面に就職をしている。本校選択の志望動機を訪ねると「人の役に立ちたい」「病院に努めたいが、医師や看護師のような専門職は学力的に無理」「なんとなく、パソコンを使うのが好きだから」というような漠然とした理由が多く、最初から医療ITを学びたいという学生はほとんどいない。明確な志望動機がない学生に対して、いかにITと医学・医療に興味を見出させるかが教育のポイントとなる。また現場を知らない学生にとって、知識だけの教育は絵空事になってしまい、医療現場の実態を実感させる事が難しい。また医療サービスは人の人生や生活を支えているという認識や責任感を就職までに身に着ける機会は、他医療専門分野の学校に比べると少ない。学生自身、これまでに何かをやり遂げたという成功体験が少なく、自分に自信をつけさせて社会に送りだす方法も大きな課題である。今回、医療情報技術者育成の現場にいる者として学生指導において日ごろ感じている事や実際に行っている教育の取り組みについて報告する。