Japan Association for Medical Informatics

[3-J-2-3] 嚥下障害予防のための訓練支援用VRアプリケーションの開発

小林 大泰1, 斎藤 季1, 市川 太祐1, 香山 綾子1, 兼岡 麻子2, 井野 秀一3, 小山 博史1 (1.東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻, 2.東京大学医学部附属病院リハビリテーション部, 3.産業技術総合研究所人間情報研究部門)

嚥下関連筋群の筋力の低下は嚥下機能の低下に繋がり、嚥下障害の要因となる。嚥下関連筋群を鍛える訓練の一つに頭部挙上訓練(Shaker法)がある。Shaker法は仰臥位で行われ、首の挙上の維持動作と首の上げ下げの反復動作の2つから成る。一般にこのような訓練は単調さによる苦痛や退屈を伴うため、継続が困難になることがある。これらの問題に対し、Virtual Reality(VR)技術を用いて訓練に娯楽性を付加し、苦痛や単調性を解消する試みがある。しかしこれまでにShaker法に対するVRの応用は報告されていない。そこで本研究ではShaker法へのVRの適用可能性を検証することを目的とした初期検討としてアプリケーション開発を行った。言語聴覚士1名に対しShaker法の実施状況をヒアリングし、アプリケーションの要求機能として次の項目を得た。(1)理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)がいない環境で正しい実施が可能である(2)PT、OT、STがいない環境でモチベーションの維持が可能である(3)個人の状況に合わせた負荷調節が可能である(4)訓練状況を間接的に取得可能であるこれらに対し、本アプリケーションはスマートフォン端末に搭載されたセンサおよび可視化機能を用いて次のように対応した。(1)スマートフォン端末を用いた簡易的なHead Mounted Display(HMD)を導入し、センサ情報を画面情報にフィードバックすることで挙上の維持および反復を視覚的に確認可能とする(2)報酬系を活用するために訓練中の状態をスコア化する(3)挙上の維持時間および反復回数を変更可能とする(4)アプリケーションの使用日時、スコア情報、使用負荷を保存するアプリケーションは統合開発環境のUnity3D(Unity Technologies Inc.)を用いて開発し、実装プログラム言語にはC#を用いた。今後、臨床応用を目指した有用性評価を行う。