Japan Association for Medical Informatics

[3-J-3-4] 退院サマリの自由記載は何を書くことが望ましいのか:文献レビュー

森田 瑞樹1, 奥村 貴史2, 狩野 芳伸3, 堀口 裕正4 (1.岡山大学, 2.国立保健医療科学院, 3.静岡大学, 4.国立病院機構)

入院患者が退院する際には診療経過などが退院サマリとして文書にまとめられる。退院サマリの自由記載には,患者の入院中およびその前後に係る事由などが端的にまとめられており,また医療従事者の判断が残されており,このため二次利用の価値が高いと考えられる。また,退院サマリの記載には日本中で膨大な時間が割かれている。よって,退院サマリを記載しやすくし,かつ記載内容を標準化することで,退院サマリは価値の高い医療情報資源となる可能性がある。しかしながら,退院サマリは何のため何を書くのかは,明示的な共通の規定がない。そこで本研究では,これまでに報告された研究を調査することで,退院サマリには何を記載すべきなのかを明確にすることを目的とした。理想的な退院サマリの調査のために,英語の文献をPubMedで,日本語の文献を医中誌で検索した。検索で得られた文献のタイトルとアブストラクトから本研究と関係が深いと思われるもの82報(英文73報,邦文9報)を選び,その全文を入手して内容を精査し,最終的に51報(英文48報,邦文3報)を得た。得られた文献には,退院サマリに書かれるべき項目を調査した文献,記載された退院サマリの評価を行った文献,文章として望ましい特徴を挙げている文献などがあった。本研究では,記載が求められる項目,文章の特徴,退院サマリに求められる定性的な事項,のそれぞれを整理した。得られた文献の多くは海外のものであるが,医療事情は国によって異なるため,文献に記載された内容が日本にそのまま適用できるわけではない。また,特定の診療科について検討された文献もあり,その結果の解釈には注意を要する。よって今後,日本において退院サマリに何を記載することが望ましいのか,本研究の結果を踏まえて検討が必要となる。