Japan Association for Medical Informatics

[3-J-3-5] 多職種連携のための略語辞書の作成

渡邊 佳代1, 武内 裕美2, 秋山 祐治1, 和田 秀穂3, 岡田 美保子4 (1.川崎医療福祉大学 医療情報学科, 2.川崎医科大学附属病院 医療資料部, 3.川崎医科大学 血液内科学, 4.一般社団法人医療データ活用基盤整備機構)

【はじめに】川崎医科大学附属病院では、電子カルテにおける診療記録の記載率および質の向上を目指して、2015年に「電子カルテ時代のPOMRガイドブック」を発行し、診療記録の記載ルールを明確にした。そのガイドブックについて多職種に対しアンケート調査を実施したところ、略語使用のルールを明確にしてほしいとの要望があった。また、各記録の閲覧率については、他職種の記録についても高い割合で閲覧していることが分かった。そこで、診療記録に記載されている略語を調査し、略語を入力すると日本語訳等に変換できる略語辞書の作成を目的として研究を行った。【方法】調査対象の診療記録は、2015年1~12月の第2月曜に保存した医師の経過記録36188件と退院時要約649件、対診記録976件である。その記録に記載されている略語を目視及び「MeCab」+「ComeJisyo」で抽出し、診療科ごとに略語と日本語訳の対応表を作成し、各診療科のチャート・レビュー担当医に使用を希望する略語を調査した。その結果から略語を入力し変換すると、「半角略語」、「日本語訳」、「フルスペル」が変換対象として表示される略語辞書(MS-IMEシステム辞書)をそれぞれ作成した。「半角略語」には、ユーザコメントとして略語のフルスペル等を登録した。また、病名については「略語(日本語訳)」が表示される略語辞書も作成した。【結果】5診療科についてそれぞれの略語辞書を作成し端末へ登録した。件数は「半角略語533件」、「日本語訳556件」、「フルスペル538件」、「略語(日本語訳)83件」である。【考察】同じ略語で日本語訳が異なるもの、日本語訳が同じで略語表記が異なるもの等があるため、意味を取り違える可能性が考えられる。本略語辞書を導入することにより、入力の負担軽減から略語の使用が減少し、理解しやすい診療記録になると考える。今後は、全診療科のデータを用いて略語辞書を作成し、使用者の声をもとによりよい略語辞書に改良したいと考える。