[3-J-4-2] みやぎ医療福祉情報ネットワークを活用した電子文書連携実装と定型化にむけた試み
個人情報保護法の施行以降、セキュリティ対策への意識は高まりつつあるが、各医療・介護現場では依然、紙媒体による情報の管理・共有が行われている。その結果、ファックスによる誤送信、紙媒体の持ち歩きによる紛失といったセキュリティリスクを抱えたままの状況が続いている。近年、運用が進められている医療情報連携基盤(Electronic Health Record:EHR)の活用により、患者情報の連続性を担保し、かつ施設間のスムーズな受け渡しが実装できれば、上述のリスク回避に加え業務の効率化、コスト低減が期待できる。宮城県内においては、2018年5月末時点で840の参加施設数と70,000人の情報共有同意患者数を有する全県域型EHR、みやぎ医療福祉情報ネットワーク(Miyagi Medical and Welfare Information Network:MMWIN)がある。MMWINではSS-MIX2拡張ストレージ内に電子文書を保存・共有する仕組みを希望する施設に対し提供している。本機能は文書種別に依存することなく、属性情報と保存先(施設ID、診療科、診療日)を指定することで保存が可能となる。機能を提供するだけではなかなか活用にまで至らず、かねてより転院紹介時の紹介状共有で一部試験的な運用を開始するなど、本機能の施設展開を進めてきた。今回は新たに透析施設間の病病・病診連携、服薬指導等の病薬連携に焦点を当て、実例を含む活用状況、および今後の展望を報告する。また、運用に向けた関連医療機関との情報共有の中で各施設が保持する情報の差異が確認されており、多職種連携を前提としたEHRにおける定型文書の必要性ついても言及する。