Japan Association for Medical Informatics

[3-J-4-3] くしろCDKネットワークを機とした院内処方箋へのe-GFR記載による疑義紹介数変化の検討

澁谷 基宏, 元木 孝, 高柳 昌宏, 千田 泰健 (総合病院 釧路赤十字病院 薬剤部)

目的 釧路市は重篤な腎機能低下患者が多く平成30年度より医師など多職種と行政が連携し慢性腎臓病(CKD)による新規人工透析導入患者を減らすことを目的にくしろCKDネットワークを発足しe-GFR45mL/min/1.73㎡未満(以降GFR45未満)の患者に薬剤師が中心となりCKDシールを貼付し腎機能低下患者に対して適切な治療を行う取組みを開始した。 釧路赤十字病院ではその取組みを機に院内処方箋へe-GFRを記載し腎機能に応じた適切な薬物療法への取組みを開始した。 そこで院内処方箋へe-GFR記載前後の疑義照会の変化を検討した。 調査対象 GFR45未満の患者へ腎臓薬物療法学会「機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧」に掲載されている院内採用薬処方(146品目) 調査期間 記載前2か月(2017年12月22日~2018年2月20日) 記載後2か月(2018年2月21日~2018年4月22日) 調査項目 対象薬の処方件数、腎機能に関する疑義照会件数・疑義照会率、疑義照会による処方変更率 結果 記載前 181件 8件・4.4% 87.5%、記載後 92件 10件・10.9% 90.0%であった。 考察 調査結果からe-GFRを院内処方箋に記載することにより疑義照会率はe-GFR記載により2.26倍になり有意に増加していた。これはe-GFRを院内処方箋に記載することにより腎機能に応じた薬物療法に対する意識が向上し疑義照会率が増加したと考える。 また疑義照会による処方変更率は院内処方箋へe-GFR記載前後ともに高い変更率であり、腎機能に関する処方の疑義照会が重要であると考える。 今後はCDKシールの活用や院外処方箋にもe-GFRを記載し、院外薬局と連携してCKD患者の適切な薬物療法に貢献していく。