[3-K-4-2] ゲノム医療カルテ及び一般カルテのシームレスな参照を目的とした統合ビュー機能の開発
【背景・目的】当センターではゲノム医療を推進するにあたり、従来の患者番号とは別体系のゲノム医療専用の患者番号を利用して臨床ゲノム科の診療録を管理し、ゲノム医療カルテ情報へのアクセス管理を患者ごとに実施することで、運用中の電子カルテシステムを活かしつつ、要配慮個人情報であるゲノム情報のセキュアな管理を実現した。その後の運用を通して、患者番号を切り替えることによる情報検索性の低減に伴うリスクが明確になったが、提案手法による課題解決について報告する。【手法】ゲノム医療カルテ及び一般カルテの区別を利用者が明示的に行うことなく、診療上必要な情報にアクセス可能とする。すなわち、シームレスな参照手段を以下の機能及びアルゴリズムの組み合わせにより実現する。・患者選択パターン(一般カルテ用患者番号あるいはゲノム医療用患者番号の選択)による参照モードの自動制御・一般カルテとゲノム医療カルテの記事の混在表示(「統合ビュー」と称す)・ゲノム医療カルテ記事を背景色により識別可能とする【結果・考察】プロトタイプを構築し、臨床部門と有用性について評価を実施した。ゲノム医療カルテ及び一般カルテのシームレスな参照を実現し臨床情報の一覧性を確保することで、ゲノム情報に対するセキュアなアクセス管理を維持すると同時に、情報閲覧者の負担軽減及び情報参照時の情報取り違えリスク低減が実現できた。【結論】既存の電子カルテシステムを活用したシームレスな統合ビューの実現により、ゲノム医療推進の可能性を示した。