一般社団法人 日本医療情報学会

[4-B-1-4] 匿名加工医療情報の作成、提供の考え方

美馬 正司 (日立コンサルティング)

「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(以下、次世代医療基盤法)2018年5月11日に施行された。次世代医療基盤法は、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出を促進し、もって健康長寿社会の形成に資することを目的としており、医療機関等においてあらかじめ本人に通知し、本人が提供を拒否しない場合、認定匿名加工医療情報作成事業者(以下、認定事業者)に医療情報を提供できるとしている。認定事業者は取得した医療情報を適切な匿名加工を行った後、医療分野の研究開発の用に供することができる。この匿名加工医療情報の作成や提供については、施行に合わせて「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律についてのガイドライン」(以下、ガイドライン)が示されており、これに基づいた運用が求められている。
そこで、ガイドラインに示された匿名加工医療情報の作成、提供の考え方を概観するとともに、今後の具体的な運用を見据えた論点等について整理を行う。特に匿名加工医療情報の作成については、改正個人情報保護法の施行規則19条を基本としつつ、追加的な考慮事項が示されており、国内外の動向等を踏まえて、そのあり方について考察する。