Japan Association for Medical Informatics

[4-B-2-2] 高度なデータ管理の運用手順

山下 貴範 (九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター)

MID-NETは、平成28年度の試行運用を経て、平成30年度より第三者的利活用者を含めた本格運用が開始された。その準備過程の一つとして、平成25年度以降のバリデーション事業では、データ品質管理作業が実施された。予想外に各種データの不整合が見られるなど、複数の医療機関を跨いだデータ利活用の難しさが表出した。しかし、PMDAとMID-NET協力医療機関の多大な努力の上で、「病院情報システム→SS-MIX2→MID-NETシステム」のデータ連携やマスタ管理について多くの課題抽出とその解決法が整理され、データ品質を高度に管理することが可能になった。但し医療機関では、常に医薬品や検査試薬の新規導入や変更、あるいは病院情報システムの更新やカスタマイズが行われている。つまり、データ品質管理は一度ではなく、継続的に実施されなければ、データ品質は徐々に劣化してしまい、そのデータ解析結果の信頼度に影響が出てしまう。
データ品質管理の重要な点として、マスタの標準コード管理がある。AMED中島直樹班では、マスタの変化をリアルタイムに抽出するリアルタイムバリデーションツールを開発した。AMED康東天班のガバナンスセンターでは、そのツール導入した医療機関のマスタ変化の情報を収集し、確認した上で、最適な情報を各医療機関へフィードバックする体制を整えた。さらにMID-NET本格運用の手順書「MID-NETシステムの運用等係る協力医療機関側運用手順書(共通版)」を開発した。「総則、運用及び管理に関する手順、その他」の3章20項目からなり、MID-NET利活用に係る確認事項や処理手順の他に、データ品質のマスタ管理や院内手続きが記載されており、MID-NET以外にも症例DB事業やデータ2次利用プロジェクトに有用な内容となっている。本発表では、データ品質の課題とその解決法について説明する。