一般社団法人 日本医療情報学会

[4-B-2-3] 協力医療機関内におけるオーソライズの課題

藤村 義明 (徳洲会インフォメーションシステム株式会社)

MID-NET(r)は、医薬品等の安全対策の高度化を推進する目的で、平成23年度から開始された「医療情報データベース基盤整備事業」を経て、本年4月より本格運用が始まった。今後、製薬企業や行政・アカデミアにおいて製造販売後調査をはじめ公益性の高い調査・研究への利活用が期待される医療情報データベースである。MID-NET(r)を構成する10拠点23病院のうち、徳洲会グループの協力医療機関は10施設で、すべての医療機関が同一ベンダーの電子カルテシステムで統一されている。また協力医療機関に選定されたと時を同じくしてグループ内の全病院を対象にマスターコードを始めとする医療情報の標準化プロジェクトが開始された。このため当初は、比較的容易に、そして質の高いデータがMID-NET(r)に提供できることが見込まれたが、試行期間中の品質管理作業において予想を上回る数多の課題が顕在化することとなった。特にコードマッピング作業においては各医療機関の担当者がこれを担い、各々の理解度や解釈の差異に起因する不整合が散見された。グループ病院では多施設にわたる担当者間の情報共有・連携をもって均質な作業が求められるが、これを日常業務と並行して遂行するためには医療機関内でMID-NET(r)への周知・理解が必要不可欠であり、我々のみならず全ての協力医療機関が呻吟するところである。また徳洲会グループの電子カルテシステムは同一ベンダーで統一されているとはいえ、導入時期により僅かの仕様上の差異も見受けられた。これらの諸課題の解決においては、電子カルテベンダーおよびPMDA品質管理担当者に多大なるご尽力を賜ったこと申し添えておく。今回、主にグループ病院での課題について触れたが、これらはMID-NET(r)における課題の縮図とも考えられる。MID-NET(r)本格稼働後の利活用においても、信頼性の高いデータを継続して確保するためには、今後も各協力医療機関が緊密な連携をとり高度なデータ品質管理手法を継続していく必要があると考える。