Japan Association for Medical Informatics

[4-B-2-4] 協力医療機関の間の運用や考え方の違いの吸収

横井 英人 (香川大学医学部附属病院 医療情報部)

MID-NETの運用については、九州大学作成の標準手順書により、全体としての運用方法は統一化された。一方、処理対象となるデータは、標準コード付与以外の、診療の原データ作成手法については、各病院の運用に特段の介入は行われていない。
現在、MID-NETを用いたアウトカム定義に関する評価について、種々の病態での検討が行われている。この中で当院が受託した「消化管穿孔」に関する検討で、いくつかの知見が得られたので報告する。アウトカム定義については、疾患の緊急性と重篤性から入院患者を対象とし、DPC病名および検査(放射線検査)、抗生剤投与の組み合わせを複数パターン作成した。これをMID-NETの検索スクリプトとして実行し、その中から100例をサンプリングして、カルテ内容の確認をしたところ、網羅的に多くの消化管穿孔症例を収集できると想定したパターンでの検索結果と実際に穿孔があった症例の比率を見た陽性的中度(PPV)は50%弱、またそれ以外の詳細な検索パターンでも60%弱後にとどまった。しかし、同じスクリプトを実施した他大学ではそれを大きく上回るPPVが見いだされ、診療内容の違いも否定できないものの原データの作成方法に違いがある可能性が示唆された。当院では、登録された病名と実際の病態に相違があった例について検討を行い、1.医原性、術後合併症、2.人工肛門の閉鎖など(恣意的に腸瘻などを作っているケースも含む)および3.全く穿孔所見なしという3つの類型に分類した。類型3以外については、病名登録までの経緯(侵襲性の高い消化器内視鏡治療施行後など)を想定した除外条件を追加することで、検索精度を上げられると思われた。類型3については、疑い病名の明記など、当院内での登録病名の正確性向上とコーディングポリシーの統一化が必要と考えられた。