Japan Association for Medical Informatics

[4-B-2-5] 病院情報システムとMID-NETの連携

杉山 順一 (富士通株式会社)

 医薬品安全対策に向けた副作用情報の分析のため、医療情報データベース基盤整備事業(MID-NET)の構築が平成23年度から平成25年度まで行われた。10拠点の医療機関から診療情報を集約するために、共通のレイアウトでデータ出力可能となるSS-MIX2標準化ストレージを採用することとなり、病院情報システム(HIS)ベンダーとして5拠点を対象にデータ出力部分の機能開発を実施した。SS-MIX2標準化ストレージを介して集約した診療情報に対する品質検証で疑義が発生したことから、平成26年度からPMDA様で品質管理業務を実施し、疑義内容の分析をPMDA様・医療機関様と共に進めてきた。主に「SS-MIX2標準化ストレージ規約の解釈齟齬」「施設間データ統一性の課題」「標準コードマッピングによる課題」の疑義が確認できた。
 「規約の解釈祖語」課題では、日付の考え方の祖語があった。記録した日やオーダ有効日、検査日などの日付があり、SS-MIX2診療日に該当する日付の解釈祖語が発生した。SS-MIX2の規約改版検討で当課題を提起し、最新版の1.2dでは日付解釈が明確に記載された。「施設間データ統一性」課題では、HISデータ出力対象文書の祖語があった。記録文書には患者に対する指示と院内スタッフに対する指示が混在する。MID-NETでは患者に対する指示が必要であったため、患者に対する指示に絞る対応を実施した。「標準コードマッピング」課題では、標準コード未付与の情報を洗い出す"差分抽出ツール"を構築し、マッピングを促す仕組みを構築した。マッピング情報を登録するツールの提供を推進し、HISのマスタメンテナンス機能として提供できるようパッケージ製品を整備中である。
 弊社ではこれらの課題をパッケージ製品に吸収し、MID-NETに限らず診療情報の二次利用を行う他の事業でも同様の課題が発生しないよう常に製品改善を行っている。