[4-B-3-1] 医療情報の利活用に向けたCDISC標準の利用
近年,診療から得られる医療情報などのリアルワールドデータ(Real World Data: RWD)を収集解析する体制やシステムを整備する新たな取り組みが活発となり,医療情報研究分野ではデータが研究者や解析担当者の判断に応じて解析されることがある.CDISC(Clinical Data Interchange Standard Consortium)は臨床試験を始めとする医学研究やヘルスケア分野のデータ共有,交換,再利用等のための世界標準を提案する非営利団体であり,様々な疾患の臨床試験データに適用できる汎用性の高いCDISC標準を定めている. CDISC標準にはすべての研究に共通する,計画策定・データ収集・統計解析などのための様々なモデル(標準群)が存在する.本研究ではデータ収集モデルであるCDASH(Clinical Data Acquisition Standards Harmonization)の医療情報への利用可能性を検討した.CDASHIG(Implementation Guide) v2.0にはデータ収集の方法論やベストプラクティスが提示され,患者背景や既往歴など24のドメインごとに収集項目としてQuestion TextやPromptの利用が推奨されていた.項目毎に変数名が定義され,さらに項目設定の推奨度としてCore Designationsが定義されていた.回答用語はControlled Terminologyと呼ばれるメタデータの参照部分が示されていた.患者背景など診療と研究に共通する情報は多く,メタデータの提供によりデータのメンテナンスが最小限となることに加え,データ解釈やプログラムの再利用の可能性が高くなるためCDISC標準を利用するメリットは大きい.RWD利活用の活性化のためにも,医療情報収集や管理において国際的な標準の利用を推進する意義は高いと考えられる.