Japan Association for Medical Informatics

[4-C-1-2] 医療情報システムにおけるSIM 認証を用いた広域アクセス環境の検討

小野 悟 (東京大学大学院新領域創成科学研究科)

 医療情報システムの障害は患者の生命に影響を与える可能性があることから,高い可用性が求められており,障害発生時には一刻も早いシステムの復旧が必要である.このため,多くの医療機関にはシステムの遠隔監視や迅速な障害復旧のためのリモートアクセス環境が整備されている.一般に利用されることが多いインターネットVPNは厚労省のガイドラインを満たしていないことから,遠隔地からの安全かつ安価なリモートアクセス環境としてSIM認証を用いたIP-VPN接続環境を構築した.リモート端末からのアクセス媒体としてLTE公共電波網を利用する.セキュリティ対策のためにインターネット網は経由しない.さらに電子カルテシステム上で用いるリッチコンテンツをストレスなく利用することができる広帯域が必要なこと,利用者に負担が少ない多要素認証方式を必要要件とした.本システム環境はISDN環境と同等のセキュリティを維持しながらも,導入とランニングコスト及び帯域幅はインターネットVPNと等価であると考えている.構築したテスト環境を評価した後,医療情報システムのベンダからのリモート接続での活用を進めていく予定である.