一般社団法人 日本医療情報学会

[4-C-2-1] GS1バーコードのヘルスケア分野での活用への期待

入江 奨 (経済産業省ヘルスケア産業課)

 日本は世界に例を見ないスピードで高齢化が進行しており、健康寿命の延伸が重要な課題となっている。世界的に見ても、高齢化の進行、生活水準の向上や衛生環境の向上等により、健康・医療に対するニーズがさらに高まっていく。
 同時に、高齢化の進展や生活習慣の変化により、病気の質が変化していくことが想定される。これまでの感染症や急性期疾患が病気の中心であった状況から、加齢に伴う身体機能・認知 機能の低下や細胞劣化に伴う疾患、生活環境や生活習慣の変化に伴う糖尿病等の生活習慣病、アレルギー疾患等の慢性疾患が増加していくことが考えられる。
 このような疾患構造の変化が起れば、治療の個別化・層別化の重要性が高まる。その際、GS-1コードのような取組を通じてトレーサビリティを確保することにより、個々の治療に関する高品質なリアルデータの収集・蓄積を行うことが重要となる。これらのデータの活用によって、医療の経済性、業務効率化の向上のみならず、医療機器の開発を含めた新たなイノベーションの実現につながっていくことが期待できる。
 政府としても、未来投資戦略2018において、次世代ヘルスケア・システムの構築を「Society5.0」の実現に向けた重点分野/フラッグシッププロジェクトの一つとして位置づけている。デジタル化の進展やvalue based healthcareに対するニーズの高まりも見据え、トレーサビリティの確保と並行して、健康・医療情報が安全かつ効率的に活用され、医療分野の研究開発や保険外サービスの提供の分野も含めて、医療の質を高めるイノベーションを実現する環境を整備することが重要である。