Japan Association for Medical Informatics

[4-C-3-1] 誘電体正方格子型周期構造を用いた周波数指定電磁遮へい

三浦 光貴1, 工藤 孝人2, 花田 英輔3 (1.大分大学大学院工学研究科, 2.大分大学理工学部創生工学科電気電子コース, 3.佐賀大学理工学部知能情報システム学科)

現在,医療機関で無線LANの導入が急速に進んでいるが,無線通信機能を搭載した電子機器が医療機関に持ち込まれ使用されることもあり,これらの電子機器が院内無線LANに干渉するような問題も存在している.この問題を解決するには,電磁波遮へいが一手段として考えられる.電磁波を遮へいするには一般的には金属シールドを用いればよいが,この方法では,医療機関で必要な無線通信までも遮断してしまう.そこで,特定の周波数の電磁波のみを遮へいできるようにするため,光エレクトロニクスの分野で用いられているフォトニック結晶構造に着目する.フォトニック結晶とは,異なる屈折率をもつ物質を周期的に配置した構造体のことで,光の伝搬が禁止されるフォトニックバンドギャップが存在することが知られている.本研究では,フォトニック結晶構造をマイクロ波の周波数領域に適用し,帯域選択的な電磁波遮へいを可能にする構造物の開発を目指している.本報告では,誘電体支脈を用いた正方格子型の周期構造に対し,Finite-Difference Time-Domain (FDTD) 法に基づく数値解析により,電磁波の遮へい特性について検討する.従来行ってきた2次元解析を3次元解析に拡張し,実際の空間により近い条件で周波数特性と空間特性を解析している.現在のところ,無線LANの5GHz帯を遮へいできるように周期構造のパラメータを設定しており,同周波数帯において一定の遮へい効果があることを確認している.今後の課題として,他の周波数帯にも対応できるようにすることなどが挙げられる.