Japan Association for Medical Informatics

[4-D-3-2] スマートグラスによる体外循環技術の安全性向上の試み

湊 拓巳 (独立行政法人国立病院機構京都医療センター医療情報部)

 【目的】
 工業界において既に利活用されているスマートグラス(SG)を用いた業務支援環境を臨床工学技士が心臓血管外科手術時に人工心肺装置および周辺関連機器の準備や操作支援として応用導入することにより、安心安全かつ適切に準備や操作が可能となる支援システムの開発を試みたので報告する。
 【方法】
 SGには株式会社Enhanlab で開発中のbeyound glasses(b.g.)を使用し、モバイルエッジコンピューティングデバイスとして東芝クライアントソリューション株式会社製dynaEdge DE100を組み合わせ使用した。アプリケーションとしては、独自に作成した手術支援システムをDE100へ導入しオンプレミスにて動作する仕組みをとった。
 【結果】
  心臓血管外科手術の経験のない、もしくは浅い臨床工学技士においても、手術前準備を正確に行えるようになったとともに準備時間の短縮による業務の効率化が図れた。また、使用前点検ではチェックリストの電子化を図れたとともに点検業務の効率化が図れた。
 【考察】
  b.g.はノンシースルー型SGであるとともにハイビジョン画質が提供されることもあり、手術室など明るい場所でも視認性がよい。防塵・防水IP65 準拠された規格であり、血液を取り扱う部署においても防護眼鏡の上から装着でき問題なく使用することが可能である。このように、使用場所に影響されず様々な情報を視野の一部に表示することで、業務の効率化が図れると考えられる。多くのモニタリングを必要とする人工心肺装置の操作などでは、SGにモニタリング情報を表示させることで操作者の行動を最小限に抑えることでき、重要な監視箇所から視線を外す時間を最小限にすることができ安全性の向上が図れると考える。
 【展望】
  手術室における医療機器保守管理の遠隔支援を行うために内蔵カメラの導入とともに支援アプリケーションの作成を行っていきたい。さらに、完全ハンズフリーでの作業を可能とするシステム開発も併せて行いたいと考えている。