IoT機器が普及するにしたがって、セキュリティ問題が懸念されている。IoTはその実装形態は多様であることから統一したセキュリティ基準を策定することが難しいが、スマートグラスのようにその機器の形態を限ればセキュリティに必要な要件が考えやすく、その基準も策定可能であろう。また同時にスマートグラスに関しては、その登場当初からプライバシー問題が指摘され、特に公衆における利用に関してはさまざまなプライバシー侵害の可能性が指摘されてきた。この問題には誤解に基づくものが少なくはないが、一方でスマートグラスの普及の大きな障害でもあり続けている。スマートグラスの医療行為における応用を広げるには、これらの問題を整理した上でどのような要件を満たしていれば医療従事者が安心して機器を選定でき、患者さんに対する説明責任を果たすことが出来るのか議論しておくことが必要になるだろう。本講演では、セキュリティ及びプライバシー問題を扱うICT専門家として、この技術がどのように見えているのか私見を述べる。