[4-E-1-5] SEAMATでできること、導入のためにすべきこと
Structured Medical Information eXchange version 2(SS-MIX2)を活用したデータベース及びそれを利用した研究が広まってきている。用いられるデータはSS-MIX2標準化ストレージ由来が一般的で、患者基本情報、病名、処方、採血検査結果が代表的項目である。しかしながら、臨床においては診療科特有のデータが診断や治療に重要であり、その活用が望まれる。そのためIHE-J循環器や日本循環器学会IT/DB委員会を中心に、心電図や心臓超音波検査、カテーテル検査・治療のデータをSS-MIX2拡張ストレージに出力するための標準フォーマットであるStandard Export data format(SEAMAT)を定めた。検査毎に標準的な項目名や単位、およびLOINCコードが当てられており、その情報は日本循環器学会ホームページに掲載されている。項目策定にあたっては、日本循環器学会のみならず、心不全学会、不整脈心電学会、心エコー図学会、心血管インターベンション治療学会、心臓核医学会、医療情報学会が協力した。既に、複数のベンダーがSEAMATに従った製品を販売しているため、施設にSS-MIX2ストレージが確保されていれば、生理検査システムやカテーテルレポートを新規に購入する際に仕様を準拠させることで導入が可能である。問題点として、導入の際に過去データの出力を要求すると、得てして有償対応や対応不可と言われることが多い。そこで、我々はデータ自体がcsvやxmlファイルであればSEAMAT形式へ変換するためのプログラムも作成している。現在、複数の施設で検証作業中である。今後、施設間で項目やデータ自体の比較を行い、内容の精査、および項目の妥当性を吟味する。また、上記学会からのメンバーが集まり、SEAMAT研究会として見直しの体制も確立している。例えば、心電図に関しては、安静時12誘導だけとなっているので、ホルター心電図検査や負荷心電図の項目策定を検討し始めている。SEAMATにより目指すものは、循環器特有検査におけるデジタル化されたデータの転送および活用であり、循環器臨床医のニーズを満たすものと考えている。