[4-F-1-4] 希少難治性疾患研究のためのレジストリ運用支援体制と情報統合基盤(難病プラットフォーム)の構築
背景:日本の難治性疾患(以下、難病)研究は厚労省とAMEDが支援する約300の研究班により推進されている。各班では研究内容に応じて臨床情報やゲノム情報等を集約した患者レジストリを構築し、研究利用しているが、それらは班ごとに管理され、情報の安定長期管理、研究班横断的な共有や利活用は十分出来ていない。目的:難病研究班が持つ情報を統合し制限共有による疾患横断的解析の推進のための情報基盤(難病プラットフォーム)の構築およびその長期安定な運営を可能とする支援組織の構築。方法:①厚労省とAMEDが支援する303の難病研究班を対象としたレジストリ構築・運用状況についての調査。②各研究班の臨床情報・ゲノム情報の集約・統合・共有のための制度設計。③②の基盤となる情報システムの設計開発。④レジストリ運営支援体制整備。結果:①173項目を調査し、271の研究班が回答した。200班でレジストリを運営し、総対象疾患は280以上、登録患者数は平均938名であった。調査結果のうちレジストリの概要をWeb公開した②被験者の個人識別情報を管理し、必要に応じて実名情報などを用いて名寄せを行なう「個人情報管理部門」、レジストリの構築・運営支援を行い、臨床情報を共有・統合する「臨床情報統合部門」、ゲノム・オミックス情報と臨床情報を共有・統合し、ゲノム解析を支援する「ゲノム情報統合部門」の組織構成とした。各部門には委員会を設置し運営規則や情報共有ガイドラインを策定した。③部門構成と担当業務に合わせ個人情報管理システム、臨床情報管理システム、ゲノム情報管理システムが連携する構成として開発を進めている。④研究班のレジストリ構築に際して提供する標準文書(研究計画書、倫理申請書、標準業務手順書の雛形など16種類)を作成した。また本事業の情報共有ポリシーを策定し、標準文書に反映した。考察:稀少難病研究では症例の稀少性から研究班横断的な情報共有が重要である。本研究事業はまだ開発途上だが、稀少難病研究発展に寄与すると考える。