Japan Association for Medical Informatics

[4-F-2-2] 法的及び技術的変化に対応した臨床研究の推進に向けて (薬剤疫学の観点から)

小出 大介 (東京大学・薬剤疫学会)

2017年から2018年にかけて臨床研究に携わるものとしてはまさに激変の年となった。まずは2017年5月30日に施行された「個人情報保護法」の改正及び3種倫理指針の改正によって、病歴なども要配慮個人情報として位置づけられたこと、また既存のデータなどを用いて研究する場合で改めて個々のインフォームドコンセントを取得する場合が困難であっても、原則オプトアウトは必要であることなどが明示されたからである。また2018年4月からは臨床研究法及び改正GPSP省令が施行され、特に後者については大規模データベースを用いた調査が実施可能となり、その解析には薬剤疫学手法が適用されることから、薬剤疫学が一層注目される契機となった。さらに2018年5月11日には次世代医療基盤法も施行されて、今後どのような機関が認定匿名加工医療情報作成事業者となって、個人情報保護を確実なものとしながら、医療データの薬剤疫学などの有効活用に寄与していけるかは大きな関心事でもある。既にICHにおいてGCPに関するガイドラインのE6の補遺もリリースされて、電子カルテなどの電子データの活用については国内の通知は出されていないが、米国では2018年7月に電子カルテのデータを臨床研究に活用するためのガイドラインが発出されていることから、今後の国際共同研究等への影響が気にかかるところである。まさにリアルワールドデータとして電子カルテデータの活用は薬剤疫学としても重視される点であり、MID-NETも本稼働となった2018年度以降において、そのようなリアルワールドデータを用いた薬剤疫学研究が飛躍的に増えるかについても期待されるところである。