Japan Association for Medical Informatics

[4-G-1-4] コンピュータシミュレーションにより再構成したベクトル心電図の不整脈発生起源同定への応用

稲田 慎1, 柴田 仁太郎2, 井上 優子3, 山本 剛3, 奈良崎 大士3, 原口 亮4, 芦原 貴司5, 池田 隆徳6, 草野 研吾3, 三井 和幸7, 中沢 一雄1 (1.森ノ宮医療大学, 2.新宿三井ビルクリニック, 3.国立循環器病研究センター, 4.兵庫県立大学, 5.滋賀医科大学, 6.東邦大学, 7.東京電機大学)

[背景・目的]期外収縮により発生する不整脈の治療方法の一つとして,カテーテルによるアブレーションがある.アブレーションを施行するためには,期外収縮の発生部位を同定する必要がある.臨床では,12誘導心電図から期外収縮の発生部位が推定されているが,その過程には熟練を要する.我々は,心臓内の電気的興奮の広がりを三次元的に捉えることが可能なベクトル心電図を用い,ベクトル心電図の特徴量と期外収縮の発生部位との関係を客観的に評価することで,期外収縮の発生部位を容易に同定するためのシステム開発を行ってきた.これまでの研究で,心臓内の興奮発生部位とベクトル心電図の特徴量との間には関連があることが明らかとなった.本研究では,期外収縮発生部位について,より高精度の同定を目指し,コンピュータシミュレーションを併用した理論的検討を行うことを目的とした.[方法]まず,約2000万のユニットで構成された両心室モデルを用い,心室内の電気的興奮伝播を再現した.その際,心室内の各部位から期外収縮が発生する可能性を想定し,心室内の約20か所に電気刺激を与えたときの電気的興奮伝播を再現した.次に,12誘導心電図を理論的に算出し,さらに,Dowerの手法を用いてベクトル心電図へ変換した.[結果・考察]算出されたベクトル心電図には,多くの場合,心電図QRS波およびT波に対応したQRSループ,Tループが見られ,その形態は刺激部位により大きく異なった.これまで,ベクトル心電図の特徴量として,QRSループ,Tループが最大となる方向を用いてきた.今後,これらの特徴量を算出し解析を行うことで,不整脈発生部位との関連について,詳細に検討する予定である.