Japan Association for Medical Informatics

[4-J-1-3] スマートフォンを利用した診療アラートリマインドシステムの実証実験-家庭での前処置が必要な下部消化管内視鏡検査を対象として-

中川 肇1, 古澤 桂子1, 辻岡 和孝1, 藤浪 斗2, 上田 理絵3, 安藤 基也3, 瀬川 元將3, 柳浦 一博3 (1.富山大学附属病院医療情報部, 2.富山大学附属病院光学診療部, 3.富士通北陸システムズ)

1.はじめに:スマートフォン(以下、スマホ)用のアプリを用いて、自宅での検査前処置が必要な患者にメールでタイムリーにメッセージを送信し、検査が適切に行われスマホが医療機関と患者間のコミュニケーション向上に寄与することに関して実証実験を行った。2.対象と方法:検査2日前から下剤服用など自宅前処置が必要な下部消化管検査症例36名(年齢中央値は51歳)とした。方法は自身のスマホからアプリをダウンロードし、利用者登録を行い、所有者と病院の紐づけは電子カルテから出力されたQRコードを読むことによって行った。メッセージは内視鏡予約データから取得した検査日から遡り、前々日には20時、前日には20時、当日7時に配信した。3.分析結果:参加者の性別は男性15名、女性21名である。スマホに連絡が入ったことが分かったのは35名(97%)であった。下剤やニフレックを連絡が入ってから服用したと答えたのは32名(89%)であり、リマインド機能が確認できた。連絡がなければ服用を忘れていたと答えたのは1名(3%)であったが、これは通常通りの説明もあり二重の連絡に相当するからである。望ましい連絡時刻については朝が5名(14%)、日中が3名(8%)、夜間が12名(33%)、いつでもが16名(44%)あり、夜間が望ましい傾向がみられた。今回の連絡時間については28名(78%)がタイムリーと答えた。6名(17%)が朝、日中は都合がいいと回答した。自由文記載では、食事の情報、便サンプル画像、個人特有の情報などを求める意見がみられた。4.まとめ:本来は、口頭のみの説明群とスマホのみの説明群の2群間の検討をすべきであるが医療安全上、断念した。アンケートでは、タイムリーに連絡が来た、他にも応用して欲しい等好意的意見が多く、スマホは医療現場で診療の質向上に有効であると結論された。次回はPET検査に応用したいと考えている。