Japan Association for Medical Informatics

[4-K-1-4] AIを利用したOCRによる手書き問診票の電子化と検証

蔵本 裕士1, 中西 義孝2, 有働 功一3, 岩崎 祐樹3, 大塚 昌子4 (1.熊本大学大学院自然科学研究科, 2.熊本大学大学院先端科学研究部, 3.大腸肛門病センター高野病院, 4.有限会社Integra System)

2016年に開発した「紙問診票テキストデータ化システム」では、患者が手書きで記載した問診票をスキャンする事で「痛い」「すごく痛い」などの選択項目と、体温や日数などの手書き数字を認識し数値化を行った(医療情報学・38巻2号(予定))。これにより、問診データの2次利用が瞬時にできるようになった事で、問診内容に基づく統計への利用やFISIスコアのような計算を自動的に行う事も可能となった。また、問診票の内容を自然言語に変換する事で、自然な文章で主訴を生成し電子カルテへ貼り付ける事が可能となり、医師の診察に要する時間を6.2分削減する事ができた。さらに、主訴の記録文字数をシステム導入後334文字増加する事ができ、主訴に記載する情報量を増やす事ができた(医療情報学・投稿中)。しかし、以前のシステムでは問診票の選択項目及び数値しか認識する事ができず、手書き文章があった場合は、その部分のみ画像として保管していた。そのため、テキストデータ化したい文章があった場合は、看護師又は事務スタッフにてキーボード入力が必要であった。そこで、外部接続によるAI型文字認識サービスを活用する事により、課題であった手書き文章のテキストデータ化を行った。AI型文字認識サービスへは氏名などを除き手書き文章部分の画像のみを暗号化し転送を行い、結果を受信して本システムへ表示させた。本システムを利用し、300件の問診票をスキャンし検証を行ったところ、選択項目と数値項目は前回と同様の処理方法により認識率95%となった。手書き文章については、75%の認識率でテキストデータ化ができた。これまで手書き部分がある場合のキーボード入力時間が平均3分20秒であったの対し、本システムを利用する事で認識した文章のチェック及び修正時間が平均1分35秒となった。その為、入力時間が1分45秒軽減され、より負担なく問診票のテキストデータ化を行えるようになった。