Japan Association for Medical Informatics

[TU8-1] 病名付与に関する現状の問題点と対策

丸山 こずえ1, 下戸 稔2, 長浜 宗敏3, 西山 謙4 (1.鹿児島大学病院, 2.国立病院機構都城医療センター, 3.大分赤十字病院, 4.沖縄県立八重山病院, 5.九州大学病院)

高齢化社会の急速な進展、医療費抑制政策の強化、病床機能分化の促進、地域完結型医療の構築と、診療現場を取り巻く環境は、大きく変化を遂げつつある。診療記録も紙媒体から電子媒体へと記録媒体の変化により、多職種による情報共有が可能となり、チーム医療が拡充している。また、インターフェイスやマスター化により情報処理と利活用が進み、1病院で発信された診療記録の情報は、地域の医療機関等で共有される時代へと進みつつある。レセプトの電子化も進み、診断群分類別包括評価(以下DPC)の導入やナショナルデータベース(NDB)の構築により、診療データの利活用が進み始めた。DPCにおいては病名が重要な要素となっており、適切なICDコーディングを行うための資料としてDPC/PDPS傷病名コーディングテキストが作成されている。しかし、病名の精度には課題があり、病名付与の根拠となる診療記録の監査においても標準的体制が確立できているとは言い難い状況である。監査方法のルール化や携わる職員の育成は、診療記録の水準達成に欠かせない課題であろう。
また、病院の組織において保険請求業務を主とする医事課に所属する診療情報管理士、診療情報を体系的・一元的に管理する診療情報管理部門の診療情報管理士、そして、診療情報の二次利用を視野に入れたシステム管理を行う診療情報管理士では、病名監査における視点や取り組みが違うことも想定される。本チュートリアルでは、様々な業務を担っている診療情報管理士が、それぞれの立場から病名監査の重要性、さらにはその利活用について解説し、本邦における病名精度管理の方向性を探ります。