一般社団法人 日本医療情報学会

[2-A-1] 画像レポート見落とし問題の対策と求められるシステム機能

松村 泰志1 (1. 大阪大学大学院医学系研究科 医療情報学)

oversight of image reports, patient safety, electronic medical record

画像検査を実施した際、目的の臓器以外の部位にがん等の所見が映し出されていることがあり、これに気づかず、更に、この所見が記載された画像レポートを見落としたために、がんの早期発見の機会を失い、次に発見された時には進行していた事例が複数報告され、大きな問題と認識されるようになった。この問題の解決には、医師への教育だけでは不十分であり、病院情報システムの支援機能を使った対策が有効となる。しかし、個々の医療機関でシステムを開発する方法では費用がかかり、対策システムが普及しにくくなる。システム開発ベンダーに対策システムを積極的に開発してもらうためには、対策システムとして必要な機能について、整理する必要がある。

平成30年度厚生労働科学研究費補助金による「医療安全に資する病院情報システムの機能を普及させるための施策に関する研究」で、医療安全、医療情報、画像診断のそれぞれの専門家が集う研究班を組織し、この問題の対策の基本的考え方をまとめ、対策システムとして有効な機能を検討した。その成果物として、「レポート見落とし防止対策システムの機能仕様項目」として整理し、このシステムを開発する上での課題をまとめた。この素案について、保健医療福祉情報システム工業会、日本画像医療システム工業会に意見を聞き、最終的な文書にまとめる作業を行った。
本企画セッションでは、この研究班で議論してきた内容を公開し、学会参加者を交えて議論を深めたい。