一般社団法人 日本医療情報学会

[2-A-1-01] 画像診断報告書等の確認不足に対する医療安全対策の取組について

渡辺 顕一郎1、赤澤 仁司1 (1. 厚生労働省医政局総務課医療安全推進室)

近年、画像診断報告書等の見落としを含む診断エラーが問題となっている。背景には医療の高度化、医療機器の普及、疾病構造の変化、医療機能の分化、業務の複雑化、コミュニケーションの問題等、様々な要因が考えられ、その対策は容易ではない。
厚生労働省医政局総務課医療安全推進室(以下、医療安全推進室)では、画像診断報告書等の確認不足に関して、平成29年11月および平成30年6月に事務連絡「画像診断報告書等の確認不足に関する医療安全対策について」を発出し、注意喚起を図ってきた。当該事務連絡は、画像診断報告書等の確認不足対策として、画像検査の依頼、主治医による画像診断報告書の確認、患者説明といった流れを整理し、業務工程を確立するよう取組例を紹介するものであった。
また、医療分野のICT化が進んでいるなか、情報システムの活用により効果的に情報伝達ミスを防ぐ方策や院内の適切な情報システムの構築についても検討を進める必要があると考え、厚生労働科学指定研究として「医療安全に資する病院情報システムの機能を普及させるための施策に関する研究(研究代表者:松村泰志)」を実施していただいた。
今般、研究の結果として、「画像診断レポート、病理診断レポートの見落とし防止対策システムの機能の解説」、「レポート見落とし事例集」、「画像診断レポート、病理診断レポートの見落とし防止対策システムの機能仕様項目」がとりまとめられ、これらを活用することで、各医療機関は実情に応じた見落とし防止対策を検討できるようになっている。
医療情報、医療安全、画像診断の専門家や電子カルテメーカーが画像診断報告書等の確認不足を減らすために協同することは大きな意義があると考えており、医療安全推進室では、今後、研究成果が全国の医療機関で共有されるよう周知を図る予定である。本セッションでは、行政の立場からこれまでの取組等について報告する。