病院情報システムに工夫した機能を搭載することにより効果的に防止できる医療安全上の課題を特定し、その課題に対し効果的に対策するために、システムに求めるべき機能を検討することを目的とした研究班を組織し、平成30年度より活動を開始した。

医療安全上の効果を上げるためには、対応するシステムの導入に加え、これを活用する運用体制の整備、職員への教育が必要となる。本研究では、この観点でも検討し、システムを活用した推奨する運用をまとめることまでを含めることとした。更に、こうしたシステムが多くの病院に導入され、適切な運用のために、どのような施策が必要であるかを検討することを目指している。

医療安全上の課題は多くあるが、画像レポートの見落としによる問題が、大きく取り上げられていることを受け、平成30年度は、画像レポートの見落とし問題を課題として取り組むこととなった。

当初は、医療安全、医療情報システムのそれぞれの領域の専門家に集まって頂き、途中から、放射線科医にも加わって頂いた。各担当する病院の本問題の対策について情報を提供して頂き、更に関連する情報を収集した。これらに基づき、問題が起こる原因、考えられる防止対策方針、防止対策として有効なシステムの機能を上げ、システムの機能については仕様書案としてまとめることとした。保健医療福祉情報システム工業会、日本画像医療システム工業会の担当者に研究班会議に参加頂き、仕様書として不明確な部分の指摘、構築する場合の難易度等についてコメントを得て、仕様書案をブラッシュアップさせた。
この問題に対する対策について、厚生労働省から通知され、研究班でまとめた仕様書案と、その解説、本問題の事例集が資料として提示される予定である。