Japan Association for Medical Informatics

[2-A-1-05] 画像レポート見落とし対策と対策システムのアウトライン -レポート見落とし防止対策システムの機能仕様項目の策定-

大原 信1、池田 和之2、石田 博3、井田 正博4、後 信5、宇都 由美子6、岡本 和也7、北村 温美8、澤 智博9、滝沢 牧子10、武田 理宏11、田中 壽12、玉本 哲郎13、中島 和江8、中村 京太14、松本 武浩15、美代 賢吾16、松村 泰志17 (1. 筑波大学 医学医療系 医療マネジメント学、2. 奈良県立医科大学附属病院 薬剤部、3. 山口大学 医学部医学科 医療情報判断学、4. 東京都保健医療公社荏原病院 放射線科、5. 九州大学病院 医療安全管理部、6. 鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 医療システム情報学、7. 京都大学医学部附属病院 医療情報企画部、8. 大阪大学医学部附属病院 クオリティーマネージメント部、9. 帝京大学 医療情報システム研究センター、10. 群馬大学医学部附属病院 医療の質・安全管理部、11. 大阪大学医学部附属病院 医療情報部、12. 大阪大学医学部附属病院 放射線部、13. 奈良県立医科大学附属病院 医療情報部、14. 横浜市立大学附属市民総合医療センター 医療安全管理学、15. 長崎大学 医歯薬学総合研究科 医療情報学、16. 国立国際医療研究センター 医療情報管理部門、17. 大阪大学 医学系研究科 医療情報学)

この発表は、大阪大学松村教授を主座とする「医療安全に資する病院情報システムの機能を普及させるための施策に関する研究」研究班が、平成30年度に取り組んだ「画像レポート見落とし対策の策定」の概要をまとめたものである。議論の中で、医師への教育が重要である点には異論はなかったが、現実の医療体制では、医師は余裕の無い状況に置かれることは屡々あり、医師への教育・注意喚起だけで問題は解決しない。講じるべき基本的対策は(1) 教育、(2) 医師にレポートの存在を気づかせること、(3) 第三者による未読監査、(4) 第三者による対応の確認、の4つに集約された。
各医療機関で既に実施されている対策は、基本的には上記の中のどこかに位置づけられるが、具体的な対策には幾通りもの方法がある。どの要素に重きを置くかは、各医療機関の状況により異なっており、以下の各対策にもバリエーションが存在した。(1) レポートに対する重要フラグの付与、(2) 主治医への通知(レポート作成通知、重要所見通知)、(3) レポートの未読・既読管理、(4) 組織的な監査体制。
システムを活用した対策は、単一の機能追加で実現することは不十分で、新機能追加と、対策用システムの新たな導入などを重層的に構築することが見落としのリスクを軽減することになる。班では、実際に構築するためには、「システム仕様書」の項目として整理することが有用であろうと考えた。必要な機能項目は、医療機関ごとに異なることを想定し、異なる運用をする医療機関が求める機能項目の和集合として、仕様項目を設定し、仕様項目の内容毎に、実装の必要性を4段階で、実現を期待する時期を3段階で表現した。この段階分けは、班会議で合議して決定した。各医療機関では、まず、どのような対策を実施するのかの方針を決め、その対策を実行するために必要な機能を、本機能仕様項目から選択することで、活用していただきたい。