一般社団法人 日本医療情報学会

[2-A-4-07] 医療CIOの立ち位置とキャリアパス

中川 肇1 (1. 富山大学附属病院医療情報部)

Medical CIO, Career-Path, Medical Ingormatics Specialist Doctor

【はじめに】今まで日本医療情報学会では欧米諸国型の医療CIOの導入を見据えて、沖縄の本大会まで議論を重ねてきた。この結果、医療情報第6版医学医療編では医療CIO教育のGIO、SBOsを公表するまでに至った。同時に、医療情報技師育成部会では上級技師の増加をめざした活動をしており、さらに、医療情報学会は、社会医学専門医協会の一員として専門医の養成の一端を担うこととなった。このようにステップアップの機会は用意されている。

【立ち位置の再確認】教科書では10項目の立ち位置が示されている。まとめると執行部の一員であり、人事権・調査権があり、病院に対して提言ができ、各部門の長にまで意見を述べ全体最適化を図る権限を有するとされている。また、施設長が交代しても変わらずに執行部に有り続ける必要性があるとされている。ところが、現況では意見の具申はできても人事権・調査権を認められているCIOの存在は本邦では皆無であろう。また、公的病院等でCIOをどのように処遇するか等の検討がなされた事例も皆無であろう。このため、認知度の向上、ポジションの確立についての更なる努力が必要である。

【キャリアパスとその活用】医療情報学会は、会員が多様なキャリアパスを有することで、医師が殆どの他の臨床系学会とは性格を異にしている。これが本学会の強みであり、活かすことがCIOの認知度に繋がると考えられる。医師法で院長(開設者)は医師であることが規定されている以上、経営陣と対峙して医療情報システム(HIS)のコストパフォーマンスを納得されるためには、養成予定の医療情報専門医が適すると考えられる。また、HISのセキュリティ、データ活用等にはその方面の知識を持った上級医療情報技師が適すると考えられる。すなわち、現場感覚をもちつつ、かつ、医療情報学の研究を行い、技術開発が行える人材の育成が望まれる。同時に認知度向上が望まれる。