Japan Association for Medical Informatics

[2-B-2-03] 糖尿病腎症に対する自己管理支援ICTシステムの有効性に関するランダム化比較試験

脇 嘉代1、南学 正臣2、大江 和彦1 (1. 東京大学 大学院医学系研究科 企画情報運営部、2. 東京大学医学部附属病院 腎臓内分泌内科)

 糖尿病腎症に関しては専門医による血糖・血圧管理の徹底により腎症の進展が抑制されることが示されている。
 現在、AMEDの循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業/腎疾患実用化事業「ICTを活用したDiabetic Kidney Diseaseの成因分類と糖尿病腎症重症化抑制法の構築」において、糖尿病腎症重症化抑制のためのPHRシステム(DialBeticsPlus, ダイアルベティックスプラス)の開発を行い、臨床研究を実施している。2型糖尿病患者で標準体重以上の腎症2期の患者を対象にランダム化比較試験(目標症例数160名, 標準治療+PHR利用群80名vs. 標準治療+血圧測定群80名, 介入期間は1年間)を実施し、糖尿病腎症の進展予防においてPHRシステムによる介入が自己管理支援に有用であるかを検証中である。
本システムは患者が測定したデータを時系列的にグラフ表示することによってデータを可視化し、食生活、運動習慣を改善するためのフィードバックを行う。本ランダム化比較試験の主要評価項目は尿アルブミン/クレアチニン比の低下量、副次評価項目はHbA1c、空腹時血糖値、eGFR、BMI等である。PHRを病院で導入する「病院モデル」と、薬局で導入する「薬局モデル」の下、8医療機関(東大病院、横浜市大病院、藤沢市民病院、横浜南部病院、横浜市大センター病院、横浜労災病院、茅ヶ崎市立病院、三井記念病院)が参画し、現在151名(年齢60.1±9.6歳, 男性71.0%, BMI28.7±4.4kg/m2, HbA1c7.8±1.1%, eGFR76.2±18.8mL/min/1.73m2, ACR55.7±52.0mg/gCr)の書面同意が得られている。介入期間終了から6ヶ月後も状況も追跡する予定である。
 本研究は株式会社NTTドコモと日本調剤株式会社の協力を得て実施している。