Japan Association for Medical Informatics

[2-C-1-02] BMIは糖尿病判別モデルに必須の情報か?

藤田 怜一郎1、奥村 健馬1、山本 祐大1、兵頭 勇己2、永田 桂太郎2、畠山 豊2、奥原 義保2 (1. 高知大学医学部医学科先端医療学コース, 2. 高知大学医学部附属医学情報センター)

Diabetes Mellitus, BMI, logistic regression model

【序論】2型糖尿病は進行によって予後不良となるため、早期発見による適切な治療開始が重要であり、日常診療で良く実施される検査を説明変数とする判別モデルの適用が考えられる。糖尿病の病態を表すために重要と考えられているBMIを用いるモデルが考えられるが、病院情報システム(HIS)では信頼できる形で構造化しておらず、データ収集のボトルネックとなっている。BMIを用いなくても判別精度が高いモデルを構築できれば、活用できるデータサイズは飛躍的に大きくなる。ここではBMIが糖尿病判別モデルの判別能に与える影響について評価する。

【方法】高知大学附属病院のHISに1981年から2016年の間に保存された75gOGTTを行った入院患者のデータを対象とし、正常型(NM)、境界型(IGT)、糖尿病型(DM)に分類した。また判別モデルの作成に有意に影響を与えると考えられる検査項目を選択し、BMIは入院中看護データから求めた。NMとIGTおよびIGTとDMの関係についてロジスティック回帰モデルによる判別を行い、モデル間のAIC 及びAUCを比較した。

【結果】説明変数として年齢,RBC,Ht,Hb,Stab,TG,TP,Albを用いた判別モデルについてBMIを加えた場合の影響を評価したところ、NMとIGTでは男性の場合AUCは0.752から0.766、AICは66.9から68.3に、女性の場合AUCは0.802から0.804、AICは68.2から70.1と変化した。また説明変数を変更した場合及びIGTとDMの間の場合も同様の変化を示した。

【考察】AUCは微増にとどまり判別能向上への寄与はあまり見られず、AICもほぼ全てにおいて増加していることから、BMIによってモデルの改良がなされたとは考えづらい。関連する検査データが十分に存在している患者に対する糖尿病判別モデルにはBMIが必ずしも必須ではないことが示唆された。