一般社団法人 日本医療情報学会

[2-C-1-03] 機械学習とR/shinyを用いた患者個別の予測生存曲線描出アプリケーションの開発

岡村 浩史1、中前 美佳1、橋本 匡生、森口 慎1、谷澤 直1、木村 友美1、中井 久実代1、田垣内 優美1、林 哲哉1、酒徳 一希1、井戸 健太郎1、原田 尚憲1、康 史朗1、南野 智1、中嶋 康博1、康 秀男1、中根 孝彦1、廣瀬 朝生1、中前 博久1、島崎 伸裕2、平松 武士2、下岸 亮祥2、 下野 直美2、竹本 恭彦2,3、日野 雅之1,2 (1. 大阪市立大学 血液腫瘍制御学, 2. 大阪市立大学 医療情報部, 3. 大阪市立大学 総合医学教育学)

shiny, machine learning, personalized survival prediction curve, random survival forest

【背景】臨床現場において各患者に対する予後予測のインフォームドコンセントは、既報告結果を踏まえた上でなされている。しかし、既報告が示す予後はリスク別・治療別に層別化されたものであり、背景や病歴が様々なリアルワールドの患者個別の要因に対して調整された予後予測を提案するツールはない。我々は過去の患者情報をcsvファイルで入力することで、自動的に機械学習による予後予測モデルが作成され、新規患者に個別化された予測生存曲線をinteractiveに描出することができるWebアプリケーションを開発した。

【方法】機械学習モデルはRandom Survival Forestを用いた。Webアプリケーション開発にはR/Shinyパッケージを使用した。ユーザーが指定したoutcomeと説明変数を用いて、治療介入日から10年後までの期間で自由に患者個別の予測生存曲線がプロット可能な仕様とした。試用データとして、当院の同種造血幹細胞移植の患者データを用いた。

【結果】過去の同種造血幹細胞移植患者のデータから予測モデルを作成し、さらにユーザーが新規患者の背景・移植法を入力することで、患者個別の要因によって調整された予測生存曲線を容易に描くことが可能であった。また、その予後予測精度はHarrell's c-index 0.72であった。https://machine-learning-for-medicine.shinyapps.io/predictedEFS/

【結論】このWebアプリケーションを利用することで、診療領域に限定されることなく、臨床医は過去の患者データを用いて新規患者個別の背景や治療介入法を反映した客観的な予後予測情報を容易に得ることができる。また、その結果をリアルタイムに患者に提示できるだけでなく、治療法別のシミュレーション結果を比較した上で、最適な治療法の選択を行うことができる可能性がある。