Japan Association for Medical Informatics

[2-C-1-04] SS-MIX2標準化ストレージを用いた入院後の死亡退院リスク予測モデルの開発

関 倫久1、河添 悦昌 1、大江 和彦1 (1. 東京大学医学部附属病院)

SS-MIX2, Machine Learning, Outcome Prediction, In-hospital mortality

【背景】入院時の患者重症度評価において患者の死亡リスクを評価することは、重症度に応じた入院管理にとって重要である。現行では集中治療室・ハイケアユニットの施設基準評価のために重症度、医療・看護必要度の評価が行われているが、主に医療者側の行為のみが反映され、患者側自体の要因を反映仕切れていない現状がある。入院時の限定された患者要因項目から機械的に死亡リスクを予測でき、患者のリスクを層別化することができれば臨床的に有用と考えれらる。

【目的】入院時の患者要因項目を用いて死亡退院リスクの予測モデルを作成する。

【方法】東京大学医学部附属病院における2009年から2017年の匿名化されたSS-MIX2標準化ストレージデータを本研究に用いた。2009年-2015年の症例 (125283回の入院イベント)の入院時の採血19項目、性別、年齢の計21項目を用いて死亡退院を予測するモデルを作成し、2016年-2017年の症例(35588回の入院イベント)をテストデータとした。機械学習手法として、ロジスティック回帰モデル、ランダムフォレストモデル、ニューラルネットワークモデルをそれぞれ作成し、AUC(Area Under the Curve)を用いて死亡退院に対する予測性能を評価した。

【結果】入院時採血、性別、年齢を用いた死亡退院予測において、ロジスティック回帰モデル、ランダムフォレストモデル、ニューラルネットワークモデルでそれぞれAUCは0.913 [95%信頼区間(CI) 0.908-0.918]、0.922 [CI 0.917-0.927]、0.919 [CI 0.914-0.924]であった。

【結論】入院時の採血19項目、性別、年齢の計21項目のみを用いて患者の死亡退院を予測するモデルを開発し、良好な予測性能が得られた。作成したモデルは適切な重症度に応じた入院管理を行う上で有用と考えられる。